望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「あのことは大事になっていないし、気にやむことは」
「気にするわよ!」
そこで私はつい感情を露わにしていた。
もし、あのとき彼が気づいてくれなかったら。そう思っただけ私は今でも動悸が起きる気がした。
自分のバカな行動のせいで、大切な子の未来を壊す可能性だってあったのだ。

そう、あれはショックでよく眠れなかった翌日、指示と違う点滴を用意して今にも患者さんに投与する寸前、望月君が気づいたのだ。

「あんなミスをするなんて看護師失格よ。ダブルチェックまで抜けてたのよ」
嘲笑うように言った私に、彼は小さく息を吐いた。
「でも、何も起きてない」
静かに言った彼の言葉の意味は解っている。誰だってミスがあるからチェック体制もあるのだ。
でも、あの時は、自分のプライベートのせいだったことがどうしても自分で許せなかった。
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