訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
今日は1日、クエストには行かずにのんびり過ごそうと街中を歩く
ここにも大分慣れてきた

「シオリちゃん!良かったらコレ買ってかない?」

最近では屋台の人に、よく声を掛けられる

「うん、買う」
「はいよ!今日は仕事はお休みかい?」
「うん たまにはゆっくりしようかなって」
「うん!休む事は大事だ!
 あ!そうだ!
 今日入荷したてのとびっきりの果物があるんだけど、どうだい?」
「とびっきり?」
「どんな果物なんですか?」

蓮と紫音が問い掛ける

「コレさぁ!」

オバさんが店頭に出してる果物を指差す

「滅多に市場に出ないんだけどね〜、今年はコイツの育つ条件が良くてね!
 珍しくて思わず大量に仕入れちまってさ!
 でもねぇ、値がはるから、なかなか買ってくれるお客さんがいなくてねぇ
 このままじゃ赤字なんだよ!」

確かに、少し高めかな…
まあお金は稼いでるし、大量に買ってもすぐに皆で食べるし
2人を見るとニコッと頷く

「じゃあ、いくつか」
「良ければ全部持っていきなよ!」
「ぜっ!?」
「全部!?」
「他の客を待って、結局残って腐らせるのも嫌だし
 だったら買ってくれるお客さんに全部売る方が、こっちとしては助かるよ!」

結局、珍しい果物…ネオを全部買った

「毎度〜!」

オバさんに手を振って
3人で紙袋一杯に入ったネオを持って歩く

「そういえば、コレはどんな味がすんだろうな?」
「…」
「勢いで買ったけど、どうなんだろうね」
〔美味だぞ〕

隣を歩くラルフ

「ラルフは食べた事あるんだ」
〔はい ネオは様々な気候条件が合わないと育たない希少なモノなのです
 それをこんなに大量に…、食べるのが楽しみです!〕
「お前、栞の魔力だけを糧にしてるんじゃなかったか?」
〔それだけしか要らぬ訳ではない
 主と繋がりを持つ前には、果実を食して生きていたのだからな〕
「丁度昼だし、どこかで食べよっか」


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