訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
紫音side
人気の無い休憩所に行き、ネオを袋から取り出すと

「…」
「姉さん?」

姉さんがどこかに意識を向けてる
蓮を見れば、横目で茂みを見てる
集中すると、確かに…、小さい気配が1つ
しかも…、こっちに敵意を向けてる

「おい さっさと出てこい」

すると、茂みから短剣を持つ子供が
布で顔を隠してるけど、全身がボロボロで少し震えてる

「何の用だ?」

子供は震えながらも、ジリ…ジリ…と近付いてくる

「…れを、寄越せ」
「あ?」
「ソレをっ…、ネオを寄越せ!」

剣で脅す程、コレは珍しいモノなのか?

「…別にそんな事しなくても、やるよ」

蓮はネオを持ち、子供の元に
腰を下ろし、ネオを差し出す

「ほら」

子供はソレをおずおずと受け取ろうとするが、手をギュッと握り

「1個じゃ駄目だ」
「あ?」
「大量にいるんだ!じゃないと奴に殺される!」
「「!?」」
「…」

子供はハッと口を手で塞ぐ

「おい、どういう事だ」

子供は震える手で、また剣を蓮に向ける

「うっ…煩い!いいからもっと寄越せっ!!」

その時、ブワッと強風が
子供が被ってる布が宙に舞う

「「「!?」」」

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