誘惑の延長線上、君を囲う。
クリスマスは伊能さんと過ごすにして、その前に日下部君に想いを伝えた方が良いのかな?なんて思ったりもして。でも、やっぱり……怖さが勝ってしまう。
断ち切ると決めたんだから、華麗に散れば良いじゃない?伊能さんに癒して貰えるんだから振られたって良いじゃない?
……こんな考え方じゃ、伊能さんはただの当て馬だな。本当に失礼極まりない。
高校時代からの想いを断ち切らないと前に進めないなら、一歩を踏み出す。そして、想い出も捨てよう。日下部君に啖呵をきったけれど、伊能さんと過ごすのもやめよう。余りにも伊能さんに失礼だもの。
「佐藤さん……?」
JRの改札口を抜けて私鉄の改札口に向かっていたら、こちらに向かって歩いていた伊能さんに偶然出会った。カツカツとヒールを鳴らしながら早い速度で歩いていた私を見つけて、顔が赤くなっていた。スーツ姿の伊能さんの左手には小さな紙袋が握られていた。
「わぁ、偶然ですね!お疲れ様です!」
「お、お疲れ様です」
「お買い物ですか……?」
「今日、たまたま半休が取れて……、仕事帰りにブラブラと買い物してました」
伊能さんは私に見られないように小さな水色の紙袋を背中に隠した。伊能さんは私から目線を外し、「あ、あの……クリスマスはどうなりましたか?」と聞いてきた。真っ赤な顔を覆い隠すように右手を顔にあてている伊能さんが、いじらしい。照れているのだ。
断ち切ると決めたんだから、華麗に散れば良いじゃない?伊能さんに癒して貰えるんだから振られたって良いじゃない?
……こんな考え方じゃ、伊能さんはただの当て馬だな。本当に失礼極まりない。
高校時代からの想いを断ち切らないと前に進めないなら、一歩を踏み出す。そして、想い出も捨てよう。日下部君に啖呵をきったけれど、伊能さんと過ごすのもやめよう。余りにも伊能さんに失礼だもの。
「佐藤さん……?」
JRの改札口を抜けて私鉄の改札口に向かっていたら、こちらに向かって歩いていた伊能さんに偶然出会った。カツカツとヒールを鳴らしながら早い速度で歩いていた私を見つけて、顔が赤くなっていた。スーツ姿の伊能さんの左手には小さな紙袋が握られていた。
「わぁ、偶然ですね!お疲れ様です!」
「お、お疲れ様です」
「お買い物ですか……?」
「今日、たまたま半休が取れて……、仕事帰りにブラブラと買い物してました」
伊能さんは私に見られないように小さな水色の紙袋を背中に隠した。伊能さんは私から目線を外し、「あ、あの……クリスマスはどうなりましたか?」と聞いてきた。真っ赤な顔を覆い隠すように右手を顔にあてている伊能さんが、いじらしい。照れているのだ。