誘惑の延長線上、君を囲う。
日下部君がシャワーを先に浴びている間に簡単なおつまみとグラスを用意する。コンビニにしか寄れなかったから、在りきたりの物だけれど。冷凍の枝豆とか乾き物とか、手軽な物しかない。チューハイの缶を見てたら先に飲みたくなるけれど、我慢がまん……!

「佐藤、シャワーどうぞ」

「ありがとう。行って来るね」

バスタオルを肩にかけて、完全に乾かしていない髪でバスルームから出てきた日下部君にドキリ、とときめいた。昨日もそんな姿は見ているくせに、中々慣れないもんだ。

日下部君の後にシャワーを浴びてリビングに戻って来たら、私は我慢して待ってたのに先に缶チューハイを飲んでいた。テレビを見ながら缶チューハイを飲んでいた日下部君は既に一本を飲み干していた。

「私は待っててあげたのになぁ……」

冷蔵庫から缶チューハイを取り出し、ソファーに腰掛けてからグラスに注ぐ。

「何となく、待ちきれなかった。佐藤、シャワーから上がるの遅いし」

「私も一応、女性だからね。スキンケアとか肝要なの」

むにっ。頬を人差し指でつんつんと触れられた。
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