誘惑の延長線上、君を囲う。
「袖も丈も長くて、あんなに可愛かったのにな」

「可愛いも何も、アレしか着るのがなかったんだからしょうがな……」

チュッ。突然として額にキスをされた。思わず、言いかけた言葉を飲み込んでしまった。

「酒飲みながら、頬をピンクにしながら歯向かう佐藤も本当に可愛い」

真剣な眼差しで見られると私は目を逸らすしかない。私はグラスを持ったまま硬直しているが、手の内からさっとグラスを取られてテーブルの上に戻される。

心拍数が跳ね上がり、ドキドキが止まらない。そんな私の事など、お構いなしに顔を近付けて来たので、咄嗟に日下部君の唇を左手で塞いだ。

「あ、明日の朝、起きられないし……、今日はお酒飲むだけにしよ?」

「ん?佐藤、もしかして昨日の事を思い出して期待しちゃってる?」

日下部君はニヤニヤしながら私の手を跳ね除けて、ソファーに押し倒した。

「どっちにしろ、昼寝?夜寝?とにかく、……夜に寝ちゃったからな、お互いに早くは寝られないから運動した位で丁度良いよ」

私はまた日下部君に流されてしまいそうになる。昨日の今日で身体からはダルさが抜けきれてはいないのに、私の身体の中の欲が疼き出す。
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