誘惑の延長線上、君を囲う。
「琴葉は海で泳ぐの?」

「……え?あ、泳がない。……というか、水着、無理!」

墓穴を掘ってしまった。海=海水浴だった。

「見たかったな、水着姿……」

「ば、馬鹿っ!久しく水着なんて着てないし、古いのしか持ってないし……全体的に無理、むり無理!」

私をジロジロと見ながらニヤニヤする日下部君はまるで、エロオヤジみたいだった。

「そんなに否定しなくてもいーじゃんか。じゃあ、ビアガーデンは行けないかもしれないけど、それは次の機会にして……ちょっと遠出のドライブ行くか?」

「運転疲れない?」

「大丈夫。朝早く出ると思うから、今日は早く寝ような」

まだニヤニヤしている日下部君。きっと昨晩の事を思い出しながら言っているんだ。私は何も言わずに頷いた。

ドリンクを飲み干し、身体を冷やす休憩は終わり。スーパーに向かい、夕飯の買い出しをして帰路に着く。荷物もあるし、暑いので帰りはマンション付近までバスに乗った。
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