嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「俺も、もう生贄はいらないと思う。つきが戻ってきたのが、何よりの証拠だ!」

「はやて……」

はやては、うんと頷いた。


「もう余計な生贄はよそう。」

はやての言葉に、村人が考え直す。

「つき……」

ときが震える声で、私を呼ぶ。

「大丈夫だから。」

私はときを抱き寄せた。


その時だった。

「生贄は必要だ!」

神主さんが、一声をあげた。

「この村は、干ばつが続くと、生贄を捧げて雨を降らせてきた。そうやって、村を守ってきたんだ。」

神主さんは、私を見た。

「つきが戻ってきたから、干ばつはまだ直っていない!新たな生贄は必要だ!」

「だから、干ばつと生贄は関係ないのよ!」

私は神主さんをにらんだ。

「つき。自分が役目を果たせなかったからと言って、この村の風習を止めるな!」

胸がズキッと痛む。

確かに、私は役目を果たせなかった。
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