嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「だったら、私が行くわ。」

私の言葉に、村人がざわつく。

「いや、つきは一度戻されているからな。」

「また戻されたら、その時はときが。」

村人の様子に、神主さんが大きな声をあげた。


「今日の儀式は、中止だ!一旦引き上げるぞ。」

「へえ!」

生贄の儀式は、一旦止まり、村人は持って来たお供え物を拾う。

「つき。この代償は、大きいぞ。」

神主さんはそう言うと、村に向かって歩き出した。


「はぁぁ……」

それを見て、ときはへなへなと、その場に座り込んだ。

「助かった……?」

ときの弱々しい声に、私はときを抱きしめた。

「そうよ。助かったのよ。」

「よかったああ!」

そして、ときは泣き始めてしまった。

「死ぬかと思った。」

「うん。」

私だって、生贄にされた時、最初は死ぬのだと思っていた。
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