愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
「じゃあとりあえず自己紹介でもしながら、複数人で撮れるプリクラ探しましょう! あたし、咲坂奈緒って言います。高校一年生です」
四人で四階の廊下を歩き始めた直後、低身長の子が笑いながら言う。
「茅野美和。私も高一」
高身長の子が咲坂につづいて、素っ気なくいう。
「俺は阿古羅零次。で、こっちは井島海里。俺達も高一だよ」
阿古羅はウインクをして、チャラい雰囲気を作って言った。
「みんな同い年なんだ! じゃあ敬語にしなくていいよね?」
口の前に手をやって、咲坂は嬉しそうに笑う。
「ああ! 海里も問題ないよな?」
「……まぁ」
素っ気なく頷く。
タメ口で話したら、もう友達も当然だよな。
友達なんて、作って良いのかな。この俺が。
「海里、大丈夫。お前の身に何かあったら、必ず俺が助けるから」
不安そうな顔をしている俺を見て、笑って阿古羅は言う。咲坂達に聞こえるのが恥ずかしかったのかひそひそ話をする時みたいな声量だったけど、ちゃんと聞こえた。
俺は笑って、阿古羅と同じくらいの声の大きさで礼を言った。
俺達はその後、一分もしないうちに複数人で撮れるプリクラの機械を見つけた。
カーテンを開けて中に入ると、そこには変わった空間が広がっていた。
右端と左端に荷物置き場のようなとこがあって、中央にタッチパネルで操作できる大きな画面がある。画面の周りは白いライトで照らされていて、天井の少し下には、カメラとスピーカが設置されている。さらに床には、足のマークのシールが貼られていた。
「こんな風になってるんだな」
「ああ。面白いだろ?」
「うん。スマフォとかで中がどうなってるか調べたことはあったけど、それと実際に見るのじゃ全然違うし、凄く新鮮だ」
「ならよかった。海里、最初に小銭入れろよ」
そう言って、阿古羅が鞄から財布を取り出して、俺に手渡す。
「あれ? 海里くん、お財布持ってないの?」
咲坂が首を傾げて言う。
言葉が詰まる。
どうしよう。虐待をされてるから金をもらえてないなんて言いたくない。でも、何か言わないと怪しまれるよな。