愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
父さんはガレージのドアの鍵を閉めると、鞄を俺の顔に向かって投げた。俺は慌てて横にずれて、それをよけた。
鞄がガレージの壁に激突して、地べたに落ちる。壁に勢いよくぶつかったせいで、鞄から阿古羅がくれた猫のぬいぐるみと、スマフォが飛び出した。
「ん? なんだこれは?」
「あ!」
父さんは俺のスマフォを拾い上げると、スマフォとケースの間に入っていたプリをまじまじと覗き込んだ。
落としたら嫌だったから、そこに入れてたんだよな。ケースが透明だから、あるかどうかすぐにわかるのがいいと思って。
「お前、プリクラなんか撮ったのか。まさか、この女達にも虐待のこと話したのか?」
プリクラをまじまじと見めながら、父さんは顔を顰める。
「話してない」
「嘘を吐くな。話したんだろ!」
そう言うと、父さんは俺と距離を詰めた。俺は慌てて、後ろに下がった。
壁が真後ろにあるとこまで俺を追い詰めると、父さんは俺の鎖骨に手を伸ばした。俺は父さんの手を振りほどこうとして、左手を前に出した。
「うぁっ!!」
左手を両手で掴まれて、雑巾みたいに絞られる。滅茶苦茶痛い。
俺は火傷している鎖骨を無理矢理動かして、右手で父さんの腕を掴んだ。
「いっ!」
やっと絞るのやめたと思ったら、今度は足のすねを蹴られた。
「今日は随分反抗するんだな。俺の奴隷の分際で」
「俺は、父さんの奴隷じゃない!!」
「いいや、お前は俺の奴隷だ。お前は俺のために生きて俺のために死ぬんだよ」
そう言うと、父さんは俺の口を右手で塞いだ。
俺は父さんの右手を思いっきり噛んだ。
「お前っ!!」
父さんは何度も何度も俺の頭を叩いた。
叩かれすぎた頭は、血を噴き出した。……痛い。でも、噛むのをやめるのは嫌だ。だって、反抗するって決めたから。
「いい加減にしろ!!」
腹を力いっぱい殴られた。
真後ろにあった壁に背中が衝突して、身体が膝から地べたに崩れ落ちる。
「うあっ!!!」
左頬を足で踏まれた。父さんの靴の裏の凹凸が頬に食い込んで、めちゃくちゃ痛い。