わたしが最愛の薔薇になるまで
 我に返ると、となりの葉室が介添人の方を気にしていた。

「中座の時間だそうですよ」

 お色直しのため、私は葉室の腕に手をからめて、大広間を後にした。

 それぞれの控え室に入り着替える。私の衣装は深紅のドレスだった。
 葉室が選んでくれたもので、いわく肌の白さが際立って美しいのだとか。

 洋装に合わせて、まとめ髪からアレンジされたアップスタイルに結い直し、生花で作られたコサージュを差してもらう。
 大輪の赤い薔薇を中心に、かすみ草や葉物で上品にまとめられたものだ。

 鏡ごしに私を見ていた介添人は「まるで薔薇の女王のようですわねぇ」と誉めた。

「会場の皆さまにお見せする前に、お坊ちゃま方に見せて差し上げてはいかがでしょう。親族の席は、どうしても高砂から遠くありますでしょう。薔子様のドレス姿を見ましたら、きっとお喜びになりますよ。ちょうど、中座に合わせて休憩に出られたとのことでした」
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