わたしが最愛の薔薇になるまで
 ベッドのうえや床には本や書類が無造作に置かれ、机の周りには割れた薔薇の種子が散乱している。
 部屋の隅に蜘蛛の巣が張っているから、しばらく掃除人を入れていないようだ。

 気になって部屋に入った私は、ベッドの書類に目を落として、息をのんだ。

 今まで私に求婚してきた男性の顔写真や経歴などの情報が、みっしりと書かれている。恐ろしいのは、そのどれも赤いインクで『死亡』と書かれている事だ。

 手に取ると、裏の文字が透けている。
 ひっくり返せば、そこには、実験の手順書のように、殺害方法が記されていた。

 遠乗りの予定に合わせて、金で買収した使用人の手で馬車に細工させる。眠っているうちに手足を縛り、顔に濡らしたタオルをのせて窒息させる。階段から突き落として首の骨を折る……。怖気立つような方法が書かれていた。

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