わたしが最愛の薔薇になるまで
「薔子さん。今、医者が来ますから、お気を確かに」
「救命は必要ありません。このお酒には毒を入れていましたの。結婚したいと言っておきながら、結婚が嫌になってしまって、葉室様を殺そうと画策したのです。二人は、私に命じられて仕方なく、葉室様のグラスに毒入りのお酒を注いだのですわ……」

 だから、蕾と咲は何も悪くないのです。

 重ねて言った私は、双子に視線を移した。

「二人とも、私がどうなっても、良い子でね。私の心は、ずっとここにいて、あなたたちの幸せを願っているから……」
「そんなこと言わないで。僕らをおいて死なないでよ、薔子さま!」

 子どものように泣き出した咲の顔が、不自然に歪んだ。
 ああ、もう意識を保てないようだ。

 髪に挿していた薔薇が、はらりと落ちる。
 赤い花を目で追うと、釣られて目蓋も落ちてくる。

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