私の婚約者には好きな人がいる
午後からもコピーの仕事は続き、途中で閑井さんがお茶にしましょうと声をかけてくれた。
ようやく座れて、お茶と閑井さんが持ってきてくれたお菓子を頂いた。
閑井さんの趣味で釣りをなさるらしく、道の駅で買った美味しいおまんじゅうだった。
少しだけ休むとまたコピーをする。
取りに来ないところには自分から持って行くと、恐縮されてしまったけど、午前よりはスムーズに仕事は進んでくれた。
「私がコピー機を扱えるようになったなんてお父様が知ったら、驚くかしら」
お兄様は―――働くことにも反対していたから、お兄様には絶対に言わないでおこうと心に決めた。
終わった物を分けていると、役員に配る資料があった。
「これは役員室の……」
今日は遊びで伺うわけではないから、部屋に入っても平気なはずよね……。
エレベーターに乗り、役員室前までくると、やっぱり緊張した。
恐る恐る専務の部屋にノックしようとして、手を止めた。
わずかにドアが開いていて、惟月さんが誰かと話す声がしたからだった。
「辞令がでたら、行くのか?」
「当然よ。入社した時から、ずっと希望していたのよ?やっと力を認めてもらって、大きなプロジェクトに関われるの」
「結彩。お前が海外に行くなら、帰りは待たない」
「わかっているわ。待てないわよね?婚約者が会社にまで、おしかけているものね」
くすくすと中井さんは笑った。
ようやく座れて、お茶と閑井さんが持ってきてくれたお菓子を頂いた。
閑井さんの趣味で釣りをなさるらしく、道の駅で買った美味しいおまんじゅうだった。
少しだけ休むとまたコピーをする。
取りに来ないところには自分から持って行くと、恐縮されてしまったけど、午前よりはスムーズに仕事は進んでくれた。
「私がコピー機を扱えるようになったなんてお父様が知ったら、驚くかしら」
お兄様は―――働くことにも反対していたから、お兄様には絶対に言わないでおこうと心に決めた。
終わった物を分けていると、役員に配る資料があった。
「これは役員室の……」
今日は遊びで伺うわけではないから、部屋に入っても平気なはずよね……。
エレベーターに乗り、役員室前までくると、やっぱり緊張した。
恐る恐る専務の部屋にノックしようとして、手を止めた。
わずかにドアが開いていて、惟月さんが誰かと話す声がしたからだった。
「辞令がでたら、行くのか?」
「当然よ。入社した時から、ずっと希望していたのよ?やっと力を認めてもらって、大きなプロジェクトに関われるの」
「結彩。お前が海外に行くなら、帰りは待たない」
「わかっているわ。待てないわよね?婚約者が会社にまで、おしかけているものね」
くすくすと中井さんは笑った。