クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「仕事終わったのかな。遅かったね、お疲れ様」
「ありがとうございます…」
「芽衣子さんのお仕事の都合で婚約が一カ月延びたことを君のお父上から聞いたよ。忙しいんだね。聞けば、カフェチェーン店のウェイトレスなんだとか」
「ええ…」
「…確か、アルバイトだったよね…? そんなところ、さっさと辞めてしまっても別にいいだろうに、芽衣子さんは真面目で律儀な方なんだね」

と、柔和に笑うけれど、言葉には棘が隠さず出ていた。

お店と私の仕事をはっきりと見下しているのが分かる…。

自分との婚約を差し置いてカフェでのアルバイトを優先させるとは―――という苛立ちが滲み出ていた。
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