追憶ソルシエール



「世莉ちゃん」

「あ、凌介くんだ」


翌日。4限目の化学が終わり机の上を片付けていれば、廊下から顔を覗かせる凌介くんを見つけて駆け寄る。



「まだ佐藤さん来てない?」

「うん、5限前には来るみたいだよ」

「じゃあご飯一緒に食べない?」

「やった。お弁当取ってくるからちょっと待っててね」




<5限に間に合うように行く!>



化学の授業が始まる数分前に送られてきたメッセージ。最近まともに1限から出席していた那乃からだ。まともというよりそれが一般的なんだけども。この時間から出席するくらいならいっそ休めばいいものの、部活には参加したいから来るみたいだ。


「あー、今日は凌介と食べるの?」

「うん、那乃もいないし久しぶりに」

席にお弁当を取りに行けば、いつも通り私の席を借りる伊吹くんに声をかけられる。

「ちゃんと5限には来いよ。俺当てられても分かんねーから化学」

「うん〜わかった。もちろん戻るから安心して」

楽しい時間を、と最後に付け足され、お弁当を片手に凌介くんの元へと戻る。



「おまたせ!」

「どこで食べる?」

「んー、わたし1回屋上で食べてみたいかも」

「屋上? じゃあ行こっか」

柔らかく笑顔を見せる凌介くんに「うん」と頷いた。


ランチバッグを右手に廊下を歩く。右耳には教室内で机や椅子を移動する音、左耳には空いた窓の隙間から風に揺れる木々の音が聞こえる。

< 142 / 146 >

この作品をシェア

pagetop