追憶ソルシエール

「凌介くんは屋上行ったことある?」

「中学のときは1回だけ。高校はないよ」

「え! 鍵空いてたの?」

「いや、日向が職員室から鍵盗んできてさ、放課後行ったんだけどすぐ先生にバレて怒られた」

「あー……なるほど」



腑に落ちた。それ以上聞かなくても、その名前でその場の雰囲気がわかるようになってしまった。



「世莉ちゃんの中学校も鍵空いてなかった?」

「そうなの。だから1回行ってみたくて」

「ここは鍵開いてるんだよね?」

「うん、基本的に開いてるみたい。那乃が言ってた」


先輩後輩問わず仲が良く人脈が広いからどこからその情報を手に入れたのかは不明だけど。


屋上に続く短い階段を登る。



「あーお腹空いた」

「わたしも」

「今日朝ごはん食べてきた?」

「ううん、学校着いてからりんごジュース飲んだだけ」

「うわ、それはお腹空くじゃん」

そうなの、と頷いて残り少しの階段を登る。今日はいつもよりお腹がすいてる。だから早くお母さんが作ってくれたお弁当を食べたい。料理は好きじゃないって言ってるけど毎日こうやってお弁当を作ってくれるのはありがたいことだ。





「「え……?」」



見事に声が重なって、お互い目を合わせる。
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