追憶ソルシエール
校門前に他校の生徒がいるという少し珍しい光景に、ちょっとした好奇の視線を浴びる。その居心地の悪さに、行き場のなくなった視線は次第に足元へ。
他校に来たのは初めてのことで、こんなにも注目を浴びるものかと驚く。
探さなきゃいけないのに。返さなきゃいけないのに。視界に映るのは、チェック柄のスカートとローファー。それから透明な傘。
そういえば、部活には入ってるのだろうか。もしそうだとしたら、ここで待ってても来ないから意味ないんじゃ……。
確認しておくべきだった。そう後悔するも、昨日のわたしにそんな余裕なんて1ミリもなかった。
今日会えなかったらどうしよう。また明日、改めて来るべき?
悩んだ末、出た答えは簡単なものだった。
あと10分。あと10分待っても来なかったら、そのとき校門を出てきた人にこの傘を託す。渡してくださいって頼む。
そう決めたら心がすう、と軽くなるのを感じた。
ここまで来ておいて人任せにするのもどうかと思ったけど、それよりも憂うつな気分を明日にまで引き摺りたくない気持ちのほうが大きかったのだ。
「ねー、こんなとこでなにしてんのー?」
「…………へっ?」
突然、横から顔を覗き込まれた。同時に聞こえたその声に、間抜けな声が漏れる。