追憶ソルシエール

数秒後、放たれた言葉にどくんと心臓が大きく跳ねた。これ以上ない速さで脈を打つ。危うく息が止まりかけた。昨日、数年ぶりに会ったときよりも。名前を覚えてるって言われたときよりも。遥かに、動揺して。





「……なんで、」


僅かに震えた声。

聞こえたのか聞こえなかったのか、目の前の彼は「ん?」と首を傾げる。



「さっき、中学のクラスメイトって……」



だって、確かに言ってたから。そんな素振り見せなかったから。わたしだけが覚えてるんだって思ってた。西野くんはもうとっくに忘れたんだって。



中学生の頃、男女問わず人気だった彼は、わたしのことなんてただの中学時代のクラスメイトにすぎないんだって。

そう、思ってたのに。




「あー、由唯に言ってたやつ。あ、由唯っていうのはさっき校門前にいた人ね」


そう言われ、ミルクティー色の髪が特徴的だったその人を思い浮かべる。

相槌を打とうにも、体が硬直してしまってどうにも動けないまま。



わたしが西野くんを見つけると早々と帰ってしまった救世主。せっかくなら、今この場にいてほしかった。それもそれで変な空気になりそうだけど、西野くんとふたりきりよりは断然マシだと思った。
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