あなたとはお別れしたはずでした ~なのに、いつの間にか妻と呼ばれています~



「ずっと、好きだった」

樹は、和花の顔をそっと両手で挟むと上を向かせた。

「ずっとだ、和花」

そっと唇を重ねる。

「愛してる。今度こそ離したくない」

もう一度唇を重ねると、今度は深いキスを仕掛ける。

「待って」

擦れた声が和花から漏れるが、唇を貪り続ける樹には関係なかった。

「もう、待てない」
「んんっ……」

バーを出たとき、暗い階段で交わして以来のキスだ。
どれだけ夢中になっても足りない。

「もう、遠慮はしない和花。君はもう、俺の妻だから」

樹がアンティークドレスの背中に手を回してファスナーを下ろした。

「妻を、抱きたい」

優しい愛撫に始まって、徐々和花の敏感な部分を探っていく。

「……ここでは、ダメ」

和花も待てないのだろう。樹は和花をそっと抱き上げた。

「ベッドルームはどっちだ?」
「右のドア」

蹴るようにドアを開けて、樹は和花をベッドに下ろした。

樹を見上げている和花が愛しい。
そっと覆いかぶさるようにして、和花を見つめながら樹は尋ねる。

「和花、君の気持ちが聞きたい」

「もう、離れたくないの」

すう―っと、和花の瞳から涙がこぼれた。

「ああ。離さない」
「ずっと、ずっとよ」
「ああ、ずっとだ」

樹の唇が和花の身体の飢えを満たしていくと、彼女も応えるように身をよじる。

「私を愛してるって言って」
「何度でも言うよ。愛している」


その夜、樹は何度も和花にこれまで言えなかった愛の言葉を囁き続けた。







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