転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 アルフォークとこのプリリア第三王女の出会いはかれこれ五年前に遡る。

 国王陛下の末娘であるプリリア王女は、国王の寵愛を一身に受けている側妃の娘だ。側妃はその美貌で有名だった市井の踊り子を国王が見初めて召し上げた。側妃ゆずりの美しい見た目と国王の側妃への寵愛から、プリリア王女は周囲から蝶よ花よともてはやされて育った。

 だが、その環境はプリリア王女を自分の望んで叶わないものなど存在しないと考えるような我が儘な性格に育てることになった。

 流行病による近衛騎士の欠員を補充すべく護衛のために初めてアルフォークがプリリア王女に会ったとき、アルフォークは十九歳の魔法騎士団の若手騎士、プリリア王女はまだ十四歳だった。
 若く美丈夫のアルフォークをプリリア王女は気に入り視察先でも必要以上に連れ回したが、アルフォークはまだ王女が子供のような年頃だったこともありその我が儘に笑って付き合った。

 だが、その後もプリリア王女は事ある毎にアルフォークを護衛に指名するようになり、今や魔法騎士団長となったアルフォークに未だに視察のお伴をさせようとする。
 周囲がそれは近衛騎士の仕事だとやんわりとプリリア王女を戒めたりするが全くもって暖簾に腕押し状態だ。

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