砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
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——イスラム教徒(ムスリム)の女性が、こんなにもアグレッシブだったとは……

まぁ、いきなりやってきた異教徒の女を拒むことなく歓迎してくれてるみたいだから、よかったけれども……


豪奢なペルシア絨毯が敷きつめられた、だだっ広いテントの空間では、 (かぐわ)しいオリエンタルな香りの漂う中、「花婿のいない女だけの結婚式」がもう二日間も執り行われている。
(夜中になればファティマさんとワファーさんを伴って中座し、適当に寝ているけれども……)

あのあと、あたしは黒装束(アバヤ)の人たちから寄ってたかって世話をされて「花嫁」姿となった。

そして今、肌触りの良い上質のシルクの布地にスパンコールがびっしりと縫い付けられた、黄金(こがね)色にキラキラと輝くベール(ヒジャブ)とカフタンドレスに包まれて、あたしは上座に祀り上げられている。

もちろん、ファティマさんとワファーさんに教えてもらった座り方である。

ずーっと、ほぼこの体勢なので、さすがに腰が痛い、ツラい。


この地に来る前に日本で読んだ本の中に、イスラム教の戒律では「人間を惑わせ堕落させる」歌や踊りは御法度だとあったのだが……

——とんでもないっ!

あたしの目の前では、目にも鮮やかな色とりどりの女たちが、美声を響かせ歌いながらクネクネと妖艶な腰つきでお祝いの踊りを延々と披露してくれている。
まさに「本場」のベリーダンスだ。

それを見物している女たちもまた、めいめいにおしゃべりに興じつつ、音楽に合わせて歌を口ずさんだり踊ったりしている。
しかも、その声がものすごくデカい。
(なにを言っているのかは、相変わらずさっぱりわからないけれども……)


普段は真っ黒なアバヤを羽織(はお)る彼女たちが、今はだれもがみな原色に近い色味のドレスを華やかに身に(まと)っている。
(実は、普段からアバヤの下にはなにを着ていても許されていて、家の中ではアバヤを脱ぎ捨て「自由」な格好をしているらしいのだが……)

中にはスリップドレスのような格好の人もいるし、たわわな胸の谷間ややわらかなお腹を惜しげもなく(さら)す人さえいる。

かなりの露出だ。西洋の文化で育ったあたしでも、とうてい無理無理無理……

彼女たちの身体(ボディ)は、総じて厚みがあり「肉感的」だ。

痩せぎすの身体が初期設定(デフォルト)の日本人女性の目から見ると、かなり「ふくよか」な範疇だが、彼女たちは堂々としている。

そして、淫靡さよりもむしろ、健康的なお色気に満ちあふれている。


Ma'am(アキーラ), would you like another cup of coffee?」
〈奥様、もう一杯いかがですか?〉

ファティマさんが、アラビックコーヒーのボットを差し出す。

子どもを二人産んだ彼女もまた、いわゆる「マシュマロボディ」の持ち主だった。

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