砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「な、な、なにしてるんですかっ⁉︎」
思わず、声を張り上げる。
しかし、「夫」は訝しげな表情を浮かべただけであった。
——あ、彼はまだ日本語の聞き取りはできないんだな……
「What are you doing here now?」
〈今ここで、なにをしてるんですか?〉
あたしは英語で訊き直した。
「Isn't this a place where men are not allowed?」
〈ここは、男の人が入っちゃいけない場所なんじゃないんですか?〉
だって、今は花婿のいない「女だけの結婚式」の真っ最中なのだから……
すると、ファティマさんがおずおずと歩み寄って、あたしに告げる。
「Only the bridegroom can come here specially.」
〈花婿だけは特別に入ることができます〉
——ええぇっ、そうなのっ⁉︎
道理で彼が入ってきても、みんな驚かないはずだ。
って言うか……
いつの間にか、歌っていた人も踊っていた人も自然と止まり、彼の姿に釘付けになっていた。
いつもはまっすぐに垂らすという真っ白な頭巾は、今は黒の輪っかで止めずに頭の周りでターバンのようにぐるぐる巻きにされていて、余った部分だけが横に流すように垂らされている。
そして、いつもは真っ白な貫頭衣だけだが、今はその上にベシュトというガウンのような長い上着を羽織っている。
彼の瞳みたいな、漆黒のベシュトだ。
そんな精悍な「砂漠の男」として正装した彼の「花婿姿」に、みんな見惚れてボーッとなっている、ってのもあるんだけれども……
今はただ、音楽だけが空々しく鳴り響いていた。
——リアルで「目が♡状態」になっているのって、初めて見たよ。