砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
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マーリク氏が「住む」フロアは、このホテルの最上階だった。

いわゆるペントハウス・アパートメントになった客室である。

住居代わりに長期滞在する富裕層向けに特別に設計されたという、このホテルのペントハウス・アパートメントは、リビングルームとベッドルーム(もちろん西洋式なので、それぞれにトイレもあるバスルーム付き)を備えたスイートが五つもある上に、キッチンやダイニングルームまで完備されていた。

また、外へ向けて意匠的に張り出されたテラスからは、だれにも邪魔されず我が物顔で最高の眺望(特に夜景がすばらしいそうだ)を見下ろせる。

さらに、ホテルだからMeal(食事)Laundry service(洗濯)House keeping(掃除)などを別途手配しなくても、コール一つでホテル側のお眼鏡に適った人がやってきて、てきぱきと処理してくれるのだ。

お金に糸目をつけない富裕層の方々にとっては、こんなふうに快適なサービスを提供してくれるホテルに「住む」方が、ずっと「合理的」なのだろう。


——だったら、ここに住むということは……

この度アブダビ新都市のホテル建設のため、担当になったフロア・プランニング。

それを「突貫工事」でなんとか習得しなくちゃいけないあたしにとっては……

——もしかして、願ったり叶ったりな「勉強部屋」なんじゃない?


以前、ベトナムのフーコック島に旅行したとき、ちょっと奮発してフレンチ・コロニアムスタイルのホテルにあったスイートに宿泊したのが、あたしのホテル経験値ではそれが「最高」だった。

そんなあたしの乏しい「経験」では、Upper class(上流階級)のお客様にご満足いただけるプランニングなんて、できるはずがない。

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