砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎

マーリク氏が扉の方へ向けて声をかけた。

「سَمَر」

すると扉の向こうから、ややふくよかな体型の女性が現れた。

「صاحب السمو أمير」

黒づくめのニカーブによって顔がすっぽり覆われているため、年齢はよくわからないが、その声からはなんとなく年配の人のような気がする。

「كيف يمكنني مساعدك؟」
「إنها زوجتي ، لولو」
「أوه ، هل هي؟」
「سمال ، يجب أن تعتني بلؤلؤتي ، حسنًا؟」
「إن شاء الله」

——二人がなんて話してるのか、マジでまったくわからないわー。


「ミスター・マーリクは彼女に仕事与えてます」

ムフィードさんが通訳してくれた。

「彼女はマミコさんの世話するそうです」

「ええっ、あたしは自分のことは自分でできますよ!」

いくらこの国を代表する不動産投資会社のCEOであるマーリク氏の妻になるとはいえ、そこまでしてもらわなくても……

しかも、「第三夫人」だよ?

「でも、マミコさん私たちの国知りません。
だから、あなたは彼女に聞くことできます。
もしあなたが失敗すると、恥ずかしいは夫のミスター・マーリクです」

——確かに……あたしはこの国の慣習も「しきたり」もなにも知らないもんなぁ……

恥をかくのは、マーリク氏だ。


そのとき、彼女がこちらにやって来た。

「Nice to meet you, ma'am. I’m Samar.」
〈奥様、お初にお目にかかります。サマラと申します〉

——あぁ、よかった! 彼女、英語が話せる!

「Nice to meet you too,Samar. I’m Mamiko Miura.」
〈こちらこそ初めまして、サマラ。三浦 真珠子(まみこ)です〉

「Now,let me show you to your room. Could you please follow me?」
〈では、奥様のお部屋にご案内します。わたしについてきてくださいませ〉

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