青い夏の、わすれもの。
試合は最後の最後までシーソーゲームだった。

けど、延長12回に相手チームの4番がサヨナラホームランを打ってしまい、試合は終了した。

うちのチームにそんな奇跡が起きたならば、感動しまくって泣いていたのだろうけれど、そんなんだから泣けなかった。


なんてのは、1割ほんとで9割嘘。

皆が皆楽しそうにプレーして、

清々しい表情で観客席の保護者に頭を下げてグランドを去っていく姿を見ちゃったら、泣くに泣けない。

そりゃあもちろん最後に勝てなくて泣きたかった人もいると思う。

でも、それ以上に仲間と最後まで一生懸命プレーできた喜びが勝って笑顔に変わったんだよね。

汗まみれでも泥まみれでも敗けても

仲間との絆で繋いだ一球一球が、

きっと誰にとっても宝物になったんだ。

何物にも代えがたいかけがえのないものを彼らは手に入れたんだ。

そして、その瞬間を見届けられたあたしは心底幸せ者だ。

だから、あとはね...

最後の奇跡を願うだけ。


あたしは誰もいなくなったグランドに深々と一礼し、グランドを去った。

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