青い夏の、わすれもの。
グランドから校門へ抜ける脇道を通っていた時のことだった。

ザッザッザ...と砂を蹴る音があたしの他にもう1つ聞こえてきて、あたしの背後で止まった。


「爽」


その声にあたしの足は魔法がかかったかのように、ふわりと自然に動かなくなった。

振り返るか否か、迷うことさえ出来ず、あたしの首は回った。

振り返ったら笑おう。

マネージャーとして振る舞おう。

その意識だけは確かに脳の真ん中にあった。


「な~んだ、魁じゃん!
今日はお疲れ様~!負けちゃったけど、なんかあた高らしくて良かったよ~。
あれ?これから男子陣は男子会じゃないの?行かなくて大丈夫?」

「あー」


魁はそれだけ言うと、口をつぐんであたしの目の前まで歩いてきた。

太陽に照らされて出来る魁の影に隠れるあたし...。

弱虫で泣き虫でどうしようもないヘタレだったあたしを守ってくれてたのは、いつだって魁だった。

あたしはずっと魁に...魁への想いに支えられて来たんだ。

だから、今ここにいられる。


あたしの胸に、マグマのように熱くて大きな想いがふつふつと湧き上がってくる。

今もこの先も、死んでも変わらない想いがここに...この胸にある。

毎日願ったから、少しは届いただろうか。

脳の片隅にでもいい。

マウンド上の魁の脳裏にはあたしの姿が映っていたかな?

ねぇ、魁...

教えて。

魁の気持ち、

知りたい。

世界中の誰よりも、

魁のことが知りたい。

あたしは...

知りたいんだよ。

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