青い夏の、わすれもの。
「でも、風くんはきっと...」


不安が言葉になってしまった。

忘れようにも忘れられなかったみたいだ。


「もしかして風くん好きな人いるの?」


さすが爽。

鋭い。


「たぶん...」

「誰?うちのクラス?」

「ううん、違う。風くんと同じクラスの......深月さん」

「あ~」


爽もピンと来たよう。


「生徒会副会長の深月華さんでしょ?」

「うん。この前2人で仲良さそうに歩いてるの見ちゃったんだよね。お似合い...だったなぁ」


サッカー部エースで成績優秀な風くんと生徒会副会長の深月さん。

釣り合ってる。

ぴたりとど真ん中で針が止まっている。

もうこれ以上ないってくらいお似合いなんだ。

私に勝ち目はないと思った。

長年の想いにヒビが入った瞬間だった。

それをまた口にして玉砕した。

何やってんだろ、私...。

項垂れると、爽が大声を張り上げた。


「澪、まだ諦めるな。あたしは何が何でも澪の味方だから。副会長だから何よ!そんな肩書きがあろうが無かろうが関係ない。澪の方が何倍、何十...いや、何万倍も優しくていいこなんだから!」

「えっ?ちょ、ちょっとどうしたの爽?」


枯れた花に栄養剤を撒いてあげたらシャキッとなるみたいに、爽の目に生気が漲ってキラキラと輝き出した。


「あたし、澪に応援してもらった分、いやそれ以上に全力応援するから」


私は状況が飲み込めずぽかんとしていた。

ただ、ここから何かが始まりそうなそんな気がしていた。

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