青い夏の、わすれもの。
「あ。雨...」

「けっこう降ってるな」


そう言うとさつまくんはリュックからビニール袋を取り出した。

購買でパンを買った時にもらえる小さい袋だった。


「それ、どうするの?」

「こーする」


さつまくんは何の抵抗もなく、それを頭に被った。

すっぽり収まるんだから、頭が小さいのだと思う。

なんて、感心してる場合じゃない。

こんなことするってことは...傘がないんだよ。

なら、貸さなきゃ。


「さつまくん、そんなへんちくりんな格好やめて。はい、これ使って」


わたしは青い折り畳み傘を差し出した。

風くんの好きな色だから、これを買ったのはいいけど、心配性のわたしは常に1本は学校に傘を置いているため、生憎1回も使用していない。

つまり新品。

本当は風くんが傘を忘れた時に渡したかったけど、仕方ない。

さつまくんに助けてもらったから、恩返しだ。


「ありがと」

「どういたしまして」


わたしとさつまくんは靴を履き替えると、土砂降りの中、バス停に向かって歩き出した。

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