青い夏の、わすれもの。
バス停までの道のりで、わたしは彼に頭を下げることにした。

このスランプを乗り越えるためにはさつまくんの力が必要だと思った。

話を聞いてもらえるし、的確なアドバイスはもらえるし、これ以上ないくらい素晴らしい師匠だ。

これは教えを乞うしかない。

わたしは財布の野口英世さんの顔を思い浮かべながら話し出した。


「あのぉ、さつまくん」


雨が地面に打ち付けるザーザーという音と雨が傘に追突するボタボタという音がダブルで攻めてくるから、わたしの声はさつまくんには届いていないようだった。

わたしは、声を張り上げてもう1度言った。


「あの、さつまくん!お願いがあって!えっと...そのぉ...」


と、次の瞬間。


「危ないっ」

「えっ?」


< 73 / 370 >

この作品をシェア

pagetop