青い夏の、わすれもの。
そして、咄嗟に話題を変えた。


「あの、そう言えばさっき、さつまくんに何か言いかけてましたよね?お話するなら、どうぞ」


しかし、深月さんはぽかんとしている。

わたしなんか変なこと言った?

脳内で自分の発言を再生し、わたしは気付いた。

"さつまくん"、だ。


「あ、すみません。さつまくんなんて言ったから分からないんですよね?

実は私、大楽(だいらく)くんのこと、最初"だいがく"って呼んでしまって。

だいがくといえば、大学いもじゃないですか?その原料ってさつまいもだから、それで...」


わたしが思いっきり脱線してしまうと、すぐに軌道修正が成された。


「そんなことイチイチ説明してどうする?」

「いや、だって...」


だって、このくらい喋ってないと平常心を保てないんだもん。

許してください。

大目に見てください。


なんて願っていると、さつまくんは深月さんの前に歩み出た。


「オレに何か用ですか?」

「あ、いや、えっと...その...」


深月さんは明らかに動揺していた。

どうしてさつまくんにこんな反応をするのだろう?

過去にさつまくんに何かされたのかな?


結局その場で答えは出ぬまま、バスに乗り込むことになってしまったのだった。

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