秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
目を覚ますと、真っ白い天井が目に入る。
消毒液のような匂いが鼻孔を刺激してどこだろうと目だけで確認する。

ベッドの上に寝かされている私は、ベッドを囲むようにしてある薄黄色の間切りカーテンを見つめ、そして思い出した。

「わ、たし…生きてる」

あの女性はどうなったのだろう、ぐわっと勢いよく上半身を起こすと勢いが良すぎてクラクラと立ち眩みのように頭が揺れる。

そして、ズキっと痛む腕を見て小さな声を上げる。
両腕に包帯が巻かれてあって、背筋が凍った。
ぶわっと腕が粟立ち、恐怖が襲う。

「あ…わ、たし…」

生きていた、おそらく深い傷ではないようだ。
でも、それでも。
あの時の光景を思い出して震えが止まらない。

「マサトさんはっ…」

誰もいない病室は、個室なのだろうか。
誰も来る気配がなくてそれが心細くて今すぐ誰かにそばにいてほしいと思った。
そして、こんなことになってしまって…どうしよう、と頭を抱える。私のせいだ、私のせいで…―。

「沙月っ…」

突如、病室のドアが開く音が響き、勢いよく開けられるカーテンから拓海が息を切らして現れた。

「拓海…」

拓海は私を視界に捉えると同時に泣きそうになって私の後頭部に手をあて、そのまま引き寄せる。走ってきたのだろう、彼の速い鼓動を感じた。
そして拓海の声を聞くと自然に落ち着いてきて、ギュッと彼のシャツを掴んだ。
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