秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「ごめん、沙月…今、きたところで…」
「…ううん、見た感じ腕しか怪我してないし、それに…拓海じゃなくてよかった。拓海の顔なんかに傷をつけたら…私どう責任取ったらいいのか」
「違う。俺が悪いんだ。俺だったら…―沙月にこんな思いをさせないで済んだのに」

拓海の胸の中に顔をうずめて、彼の鼓動を感じる。彼の声からは後悔が滲んでいた。
拓海のせいじゃないのに。一番悪いのはあの女性なのに。

「今、多分先生が来ると思う。マサトから連絡貰って駆けつけたけど…遅かった。ごめん」
「どうして拓海が謝るの?大丈夫だよ。でも、ディズニーシーはいけないね…また計画していこう!ね?」

明るく笑ってみせるのに、彼が笑顔を見せることはない。それがつらい。

ちょうど、病室のドアが開き、先生と看護師さんが入ってきた。
白衣を着たお医者さんは比較的若い男性だった。入院などしたことはないし今までに大きな病気にかかったこともない。
初めての光景に背筋が伸びる。

「若海さん。担当医の早瀬といいます。大きな怪我がなくてよかったです。右の腕は4針縫いました。しかし左のほうは縫わなくても大丈夫でした。あとは抗生物質をしっかり飲んで体調整えていきましょう。一応明日まで検査入院をしてもらいます。頭など打っていないか心配ですから」

お医者さんはそう言って口角を上げた。

「あと、襲われたということなので、おそらく明日には警察が来るかと思いますので…今日は帰ってもらいましたが」
「…ありがとうございます」

あの女性は、捕まったのだろうか。そして、マサトさんは無事なのだろうか。
自然と奥歯をかみしめていた。
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