秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「怪我、痛いよね」

沈むような声に私は首を振って明朗に「全然痛くないよ」というけど、彼の眉尻は下がったままで私の手をギュッと握ると

「俺、やめる。芸能界」
「え…―」
「それで責任とれると思ってない。思ってないけど…それでも…、」
「そんなの、やめてよ。望んでないよ…」

真剣な瞳は冗談ではないことをしっかりと示している。
彼には才能がある。いくら私のことが一番だといってくれていても、彼の活動を私のせいで終わりにしてほしくない。

「でも、そうじゃなけれな沙月を守れない。もう…傷つけた後にこんなこといったって意味ないけど、それでも、」
「私は、俳優の拓海を応援してるの。大丈夫だよ、命に別状はなかったから」


拓海の選択が正しいのか、私の選択が正しいのか、それはわからない。わからないから、先が見えないから、こんなにも悩んで苦しむ。

「とにかく、それは今決めることじゃない。ほら…それに大河だって決まってるんだよ?楽しみだって言ってたじゃん」
「そんなことよりも、沙月を失う方が嫌だ」
「…」
「そっちの方が耐えられない」

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