秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「あー。でも沙月の初めてはやっぱり俺がもらいたかった」
「…」
ようやく拓海の手が離れすぐに私は毛布に身を包む。拓海が笑みを浮かべながら私の髪をすくって弄ぶ。
「あ、そうだ。沙月は俺のこと好きになってくれたんだよね?」
「う、うん」
「なら結婚してくれるってこと?」
「え?!」
「してくれないんだ」
落胆したようにはぁとため息を溢す彼に
私は首を横に振った。
彼と結婚を考えられないというわけではない。そうじゃなくて、拓海は付き合うということと結婚するということがイコールなのだ。
「したいけど、拓海の仕事もあるし結婚を前提に付き合う…ではだめ?」
「…わかった。でも来年大河が決まったからさ。その前がいい」
「うん、じゃあ…その前に」
「プロポーズするから待ってて。あと今日から沙月は俺の彼女ってことだよね」
私は大きく頷いた。
久しぶりにできた彼氏が、小さな頃から一緒の国民的スターだなんて…変な感じがする。
私は小さな頃から知っている彼がそのまま大きくなっただけだからスターになろうがやっぱり拓海は拓海だ。
と、幸せな空間に浸っていると拓海の携帯が鳴った。
「もしもし、」
すぐに起き上がってそれを耳に当てる。うん、とか、わかったとか、数秒の会話でそれが終わったことから仕事の話だと推測できた。
「どうしたの?」
「あー、今からマネージャーが来る」
「え…どうして?」
「重要な話だって。沙月も同席してほしいって」
車で送ってもらった際の淡々した口調を思い出した。
あの人が、何故…?
30分後、インターホンが鳴った。