恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
何分キスをしていただろうか。
はっと顔を離したのは室内に響く無機質な音が耳に届いたからだった。
それは千秋さんの携帯電話だった。

「…あ、」
「…」

千秋さんはそっと私の頬を撫で、名残惜しそうに私から手を離すとリビングに無造作に置かれた電話を手にしてすぐに出た。
聞こえてくる会話的に、多分仕事関係なのだと思う。
忙しいはずなのになんとか私と時間を作ろうとしていることはヒシヒシと伝わってくる。
それだけに、余計に罪悪感が私の心に侵食して苦しめる。

千秋さんが去った後、そっと唇に触れた。

夏希君のことを話すべきか悩んだ。話せばデートだってしなくていい。
でも、伝えてしまったら…

きっと、私のこと嫌いになると思う。

彼に気づかれないようにため息を溢して私は夕食の準備に取り掛かった。
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