恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
まだ考えをしっかりと整理することが出来ない。
千秋さんはいつ夏希君とのデートを知ったのだろうか。少なくとも今日の時点では知っていた。
今朝家を出る際の様子がおかしかったこともここにきてようやく理解できた。

「ごめんなさい、千秋さん…―これは、」
「なんで桜子が謝る必要があるわけ?」
「…」
「そもそもお互い契約結婚でしょ?詮索はしないんじゃなかった?」

彼は早口でまくしたてるように言った。
それに関しては、その通りだ。詮索はしない、それはそもそも千秋さんが提示してきた内容だった。
私だって了承した、なのに。

「…そうだよ、その通りだよ」

夏希君が私の手をギュッと強く握る。痛いくらいに、握ってくる。
そのたびに、私の胸も同時に痛む。ヒリヒリと、ズキズキと痛みを増していく。

「でもなんで夏希は俺にヒント教えたの?」

千秋さんのその言葉に夏希君が目を背ける。


「桜子が前に自分の部屋で夏希と会話してるの聞いた。しかもタイミングよく夏希が俺に金曜日はデートなんだって俺に教えたよね、桜子の名前は出さなかったけどそんなこと聞いたら普通わかると思うんだけど」
「え、夏希君…?」

今の話だと夏希君は事前に千秋さんに話していたということになる。
なぜ?どうして?
そんなことをしたら千秋さんに止められてデート自体なくなることは容易に想像できるはずだ。

…どうして。

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