恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「何、してんの?」
眉根に皺を寄せ、トーンの低い声が広いリビングに響いた。
私は悪いことをしているような、罪悪感に近いような感情が芽生えてあたふたしてしまった。
どんどん距離を詰める千秋さんに私は夏希君に目を向ける。
夏希君は、黙って千秋さんを見ていた。
私の目の前まで来ると、
「夏希と何してたの?」
「何もしてないですよ!本当に!ね?夏希君」
「ん?俺はキスしようかなーって思ってたけど」
「えええ?!」
夏希君に助けを求めて(同意してくれるかと思ったのに)彼を見上げたが、涼しい表情で笑うだけだった。
しかも何キスしようとしてとかそんな嘘を…
「そんな冗談はいいから!夏希君はそもそも千秋さんに…―あれ?」
そうだ、千秋さんに用事があったわけじゃない。
はっとした顔をする私を見て夏希君は笑った。どこか冷めたような、冷たい笑いだった。
「言ったじゃん。俺は桜子に会いに来た」
「…」