恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
…――


18時過ぎ、千秋さんが帰宅した。

「今日は早めに帰ってきた」
「もう夕飯できますよ」
「ありがとう。桜子に早く会いたくて最近仕事早めに切り上げちゃうんだよね」
「…」


スーツを脱ぎながらサラッとそんなことを言う千秋さんに私は嬉しいような照れ臭いような感情を携えたままてんぷらを揚げ始めた。


ダイニングテーブルに作った料理を並べていると、

「今日、誰か来た?」
「え?…き、来てないです」
「そっか」

私服に着替えた千秋さんが私の背後からそう聞いてきた。
なんでそんなことを聞いてきたのだろう。
…夏希君が来たこと、言った方がいいのだろうか。

「ねぇ、」
「はい」

続けて呼ばれて私は振り返った。
千秋さんが至近距離にいて、思わず体を反らせてしまいそうになる。
ガタン、テーブルに手をついた。

「なんか、違う香りがする」
「…かおり?」
「うん」
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