お姫様は恋してる？

江ノ島を散策してシーキャンドルという展望灯台に登って、周囲の景色をはしゃいで見ている一叶に切り出した。

「なぁ一叶。俺のこと好きか？」

「な、何、言ってるのよ。当たり前じゃない。」

「それってお父さんとかお兄さんとか親戚の仲のいいおじさんじゃなく、本当に俺を男として見ているのか。」

「そうよ。」

「じゃあ俺とセックスできんの？」

さすがに直球過ぎたか、一叶が真っ赤になって、あわあわ言っている。

「もちろん今じゃないぞ。青少年育成条例もあるし、一誠(かずま)に殴られるからな。いや、香子に蹴飛ばされる？」

少し茶化して言うと一叶は、頷いた。

「毎日、一番近くにいて刷り込み的な存在の俺だから、錯覚でよく見えるだけかもしれない。」

「そんな事…」

「一叶がいろんな世界を見ないまま、大人になって後悔して欲しくないんだ。」

「秀介？」

「ニューヨークに３年か４年行ってくる。ニューヨーク支社長の打診があったんだ。行こうと思っている。」