優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
しかも、それが私の後輩とはね。

「勝手なことをしていいと思っているの?」

「えっ!?でも、あんな大量の商品を一人でなんて―――」

「お話し中、失礼します」

冷えた声が割って入った。

「今園室長。私が話しているのよ。壱哉の婚約者である私にあなたが指図するつもり?」

ずっと私を見下すように見ていたことに気づかないとでも思っているの?
口には出さないけど、態度でわかるのよ。
本当に食えない女。

「立場を盾にとられますか」

「今まであなたが私にしたことよ?社長が決めた専務の婚約者である私に秘書室室長でしかないあなたが何が言えるのかしら」

「私は社長の秘書ではありません。会長直属の秘書です。私は会長が命じられた職務を全うするだけです。呑海さん、営業部へご一緒して頂きます」

「会長の!?」

「専務からお話があります」

「壱哉が?」

有無を言わせない今園室長の空気を感じとり、嫌な予感がした。
営業部へ行くと広報部までが集められ、私に視線が一斉に集中した。
壱哉は私を見ず、全員を見回した。

「書類を改竄した犯人がわかった。今園」

「はい」
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