秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
チェーン店の牛丼屋でも橋本くんを真ん中にカウンター席に座った。

「夏休み明け、やっぱり忙しいですね。」

「そうだな。毎年のことだけど忙しいな。でも休みも欲しいしな。」

「そうなんですよね。夏休みは欲しいです。課長は夏休み何してたんですか?」

ギクッ
私はドキドキしてきた。

「俺か?買い物行ったり、家で映画見たり、1泊で旅行も行ったな。」

「課長はリア充っぽいですもんね。さすがです。」

「そう見えるか?いつも右往左往してるけど。」

「まさか!課長はどの見た目なら女の子はみんな寄ってくるでしょう。付き合った人は数知れず…じゃないですか?」

そう!
橋本くんナイス!
私もそこを聞きたいのよ。

「まさか。そんなわけないだろ。モテてもないさ。それに今は1人だけだ。」

「今は…ですか。なんだか余裕があって羨ましいです。俺は何年も1人が好きなのに進まなくて困ってます。」

「えー?そうだったの?知らなかったー。橋本くんのそういう話聞かないもんねー。」

雅臣さんの話に興味があったのに橋本くんがこんなこと言い出すからビックリした。

「ま、杉原にはわからない話だよ。」

「もう!」

あっという間に牛丼が運ばれてきて私たちは食べ始めた。
2人はあっという間に完食。

「ごめんね。遅くて。」

「いや、普通だろ。男は牛丼は飲み込むように食べれるんだよ。杉原はいつも通りでいいよ。」
橋本くんはこう言ってくれるが、その向こうに見える雅臣さんの顔は硬かった。

早く食べなきゃ。

慌てて食べたのでむせこんでしまった。

「おい、焦るなって。ほら。」

水を渡され、背中を叩かれる。

「ご、ごめん。ありがとう。」

「杉原は周りに気を使いすぎ。別に急いでないんだしゆっくり食べとけよ。」

「ありがとう。」

「牛丼がダメだったな。ついかき込みたくなるんだよ。」

橋本くん越しに見える雅臣さんの顔が怖い…。

「大丈夫だよ。牛丼好きだもん。」

「さ、食べちゃいな。」

「橋本は杉原と本当に仲がいいんだな。」

「そうですね。同期で入社して配属も一緒ですから腐れ縁ですね。」

「そうか。」

この空気が耐えられない。
早く食べて帰らなきゃ。
私は黙々と食べ、なんとか終わらせた。
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