秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
橋本くんは家に着くと、そのままキッチンに立ち手早くうどんを作ってくれた。

「はいどうぞ。」

「いただきます。」

橋本くんのうどんは関西風でお出汁がよくきいている。
ネギがたっぷり入っていてとてもおいしかった。
よく考えたら昨日からほとんど食べてなかったので少し力が湧いてきた。

「すごく美味しい。人に作ってもらうっていいね。」

「よかった。あんまり野菜とか入れると重いかと思ってあえてあっさり気味にしたんだ。」

「ありがとう。」

「明日からどうする?」

「明日はお休みしようと思う。いいかな?」

「無理しない方がいいと思う。昨日は本当に顔色悪かったぞ。だから少し休めよ。」

「うん。明日お姉さんのところで採血結果も聞きに行かないと行けないしね。」

「そうだな。」

「まさかお姉さんがドクターだなんてびっくりしたよ。」

「義兄もドクターだよ。ちょうど学会でいなかったけど。」

「そうなんだね。でもお姉さんがいてくれて助かった。ありがとう。」

「良かったよ。それより…彼氏に連絡しなくていいのか?向こうからも来てるんじゃないの?昨日の夜鳴ってたし。」

「うーん。今はスマホ見たくない。疲れちゃったから心の整理ができたら見てみるよ。どうしたらいいのか分からないし。難しいよね、人の心は目に見えないし。」

「そうか。目に見えないものは難しいよな。でもどれだけ相手を思いやれるか、だと思うよ。口では簡単に言えるけど行動で示せるのか…そういうところが信頼関係にあたると思う。口だけなら人は何とでも誤魔化せる。大切な人だからこそ真摯に向き合わなきゃ行けないと思う。カッコ悪いこともさらけ出していけるか、じゃないか?もちろん杉原にも同じことが言えるけど。素直になれるか、さらけだせるか?長く付き合いたいならどれだけ自分を見せられるかだと思う。」

「そうだね。深いね。私が一番苦手なところ。だからおひとり様まっしぐらだったのに、どうして恋愛しちゃったんだろ。こうやって気を遣わずにポンポン言い合える同級生っていいね。っていうか橋本くんの方が年上に見えるよ。しっかりしてるし。この前まで私の方がしっかりしてると勝手に思ってたのになぁ。」

「仕事だと杉原はしっかりしてるよ。プライベートだと違うな。頼りないというか支えたいというか…。」

「なんか妹みたい。」

「いや…うーん…そうだけどそうじゃないような。」

「歯切れ悪いね。」

「ま、いいよ。」
 
「泊まってく?」

「ううん。今日は帰る。明日から迷惑かけられないし。うどん食べたら力が出たし、点滴効いてて動ける様になってきたし。」

「そうか。なら送るな。」

「ありがとう。」
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