秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
向かいのパーキングに車を停めると手を繋ぎながら私の家へと向かう。

家に入るとスマホが鳴り始める。

「出たら?」

「はい。」

『もしもし。あ、うん。元気だよー。そっか…。でも…うーん。橋本くんはどうなの?』

橋本?!
また橋本からなのか?

「真帆、タオル借りていい?」
わざと電話に声が入るように真帆に声をかけた。

電話の向こうで何か聞かれているようだ。

『あ、うん…そう。ごめんね。また誘ってね。電話ありがとね。うん…わかった。』

電話を切ると雅臣さんがすぐに橋本くんからなのか聞いてきた。

「はい。橋本くんが飲みに行こうって。いつも気を遣って誘ってくれるんです。」

それは真帆が気が付かないだけでアプローチをされてるんじゃ…。

「他には誰かに誘われたりするの?」

「この前畑中さんがご飯に連れていってくれました。美味しいお店だからって声かけてくれて。うーん…あとは林くんが春子ちゃんと一緒に
この前飲みに連れていってくれたかな。」

みんな結婚適齢期の奴らばかりじゃないか。
しかも明らかにアプローチっぽい店のチョイスだし。
橋本に至っては遊園地や映画の誘い、やはり真帆に気があるのだと思えて仕方ない。

真帆が鈍くてよかった。
俺が先に言えて良かった。
< 82 / 182 >

この作品をシェア

pagetop