キミを描きたくて
「依茉ちゃんのお兄ちゃん、イケメンだよね〜」

「え?」


また、前と似たような夢。
小さな私と、誰かを、どこからか見てる。


「高校生でしょ?カノジョとかいるのかな?」

「うーん…あんまり知らないなあ」

「いいなー!あんなかっこいいお兄ちゃん欲しい!ねえねえ、お兄ちゃん"交換"してよ!」


…ああ、誰か、思い出した。
この子は、私をいじめてた…名前は…


「ゆうちゃんのお兄ちゃん?」

「優しい依茉ならいいでしょ!おねがい!」


交換、お願い。

そうだ、この子はそんな子だった。
確か、お兄ちゃんは交換できないよ、なんて言ってから、いじめが始まったんだ。

だから、クラスの隅っこで絵を描くことだけ考えてた。

お兄ちゃんになんて言えやしなかったし、先生だって見て見ぬふり。


瞬きをすると、映像は切り替わる。



「依茉!?どうしたんだよ、そんな怪我」

「え?…あ、転んじゃったの!」

「転んだって、そんな背中にアザなんか…」


ああ、樹だ。
やっと、やっと会いたい人に会えた。

ねえお兄ちゃん、ずっと私苦しかった。
ずっとずっと、お兄ちゃんのことで虐められてた。
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