キミを描きたくて
適度に髪を乾かして家を出る支度をする。
財布と身分証、スマホさえあればいい。

今日はまだ曇っていて、そんなに暑くはなさそうだ。


「はあ…」


大きなため息が出る。
紫月くんに、なんと別れを告げよう?

…そもそも、別れを告げて、彼が許すとは思えない。


さて、どこに行こうか。
公園、買い物、河川敷…

たまには、1人で買い物でもしようかな。

そう思って、駅へ足を運ぶ。
夕方とはいえ、まだまだ暑い。

樹が帰ってきたら…また、昔みたいに買い物に行けるだろうか。
スーパーに行って、好きなお菓子を買って、家でくだらないことばっかり話して。


紫月くんと花火を見る日も近づいている。
私は、平然と花火を美しいと思えるだろうか?


そんなことを考えていると、ふと遠くにもう見慣れてしまった人が見えた。


「ねえ"紫月様"、私、服見に行きたい〜!」
「そう。じゃあ行くか」
「ほんと〜!?やったあ!」


"紫月様"。
動いていた足を止めて、踵を返す。

宮崎優香。

…ああ、私がやったんだった。
私が、あの手紙を渡して、2人を繋げたんだった。


「…ま、いいか」


心の中は、ざわついていた。
< 139 / 177 >

この作品をシェア

pagetop