キミを描きたくて
「えっと...着替えはこれを使ってください」


兄のパジャマと、未使用のままタンスに入っていた男物のパンツを渡す。

匂いを嗅いで、誰の?なんて聞く。


「兄のです。...きっともう、要らないでしょうから」


そう言って洗面所に会長を押しやる。
...家に誰かがいるのなんて、いつぶりだろうか。

早く、お兄ちゃん帰ってこないかなぁ。


「あれ、スマホどこやったっけ」


スマホスマホ...なんてブツブツ言いながら、部屋を歩き回る。

しかし、カバンの中にも、クッションの下にも、ポケットにも自分の手にも頭にも、スマホはなかった。


「...まぁ落ち着いてたら後で見つかるよね」


とりあえず先に食器を片付けよう。

そう思って、キッチンに入った。
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