キミを描きたくて
正直に言ってしまえば、もうどうでもいいとさえ感じてきている。

人と話せなくても、絵があればそれでいい。

なにか描き続けれられれば、私は満足。
...あと、美味しいご飯も食べていたい。



「依茉〜、数学の課題やった?」

「......あ、うん」

「そ、そんな固まる?ごめんねーなんか」

「............う、ううん。気にしないで」



よくあの時会長に話しかけられたな、と心底思う。
か、課題だよね!なんて苦笑い。

いくら人と話してこなかったからって、これは酷い。



「え、ええと...あの...こ、これ...?」

「そうそう!ありがとう依茉〜後で返すね!」

「...え、あ、う、うん」



あとでというか授業前に返してくれるだろうか...?
そんなことを軽そうな女子生徒に思いながら、机に伏す。


昨日の夜は、隼人くんをどう描くかで全く眠れなかった。

おかげで眠い。
しかしどう色を使うかは決められた。



「やば!数学間に合わないかもしんねぇ!」



男子生徒たちが騒ぎ立てている。

数学は一時間目、あと五分後だ。
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