キミを描きたくて



「じゃじゃーんっ!」


次の日の放課後。
美術部のみんなで集まって、夏休み前最後のお披露目。

明日からはテスト週間が始まる。
私もワクワクしながらみんなの絵を眺める。

ある子は好きな漫画のキャラクター、そしてまたある子は屋上からの眺め…
部長は家族の人物画に、副部長は美味しそうなパスタの絵。

美桜ちゃんは、夜景の風景画だった。


「依茉ちゃんは?」
「早見さんのことだから、抽象画でしょ?」
「どうせ変なのしか描けないんだから」


そんなヒソヒソ声に、キャンバスを持つ手が震える。
もし、私の絵が変だと言われたら。

…いや、ちがう。
隼人くんさえも、罵倒されてしまうかもしれない。


「ちょっと、なんてこと言うのよ」


凛とした声が響く。
美桜ちゃんだった。


「人の絵は馬鹿にしない。初歩でしょ、どんな想いあって依茉が絵を描いてると思ってるの。それに、非抽象って課題出したのあなたたちじゃない」


黙って見てなさい、そう言うと私に目配せする。
息をそっと吸って、私は隼人くんの絵を見せた。
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